この移動美術展は「日本人の油彩画」を取り上げ10月24日(日)まで開催されます。開館時間は午前10時~午後5時、観覧無料 14日(火)は休館
挨拶で申し上げたのは、平成23年に続く3回目の静岡県立美
術館移動美術展の開催に感謝を述べ、この企画を広く文化と捉え、文化とは自然に働きかけた人間の営みのすべてであり、それは有形無形のものである。文化は人間を育む必要不可欠の要素であり人づくりの根源である。また、人間は社会的動物であることから社会を構成し生存する。そこで身近に言えば「まちづくり」の大前提は、文化を基調とした「まちづくり」であるべきである。この点からも今回の開催は意義深いものであると結びました。
また、蛇足ながら教員現役時代に幾度となく県立美術館に引率し鑑賞した生徒諸君が、社会人となって日頃の生活の中にこうした鑑賞の習慣を活かし、心に潤いのある人生を送ってほしいとの思いをお伝え致しました。
左から工藤達朗沼津市教育長 坂田芳乃県立美術館副館長 荻生昌平庄司美術館副館長 |
県立美術館からの解説は以下の通りです。
美術館のコレクションは現在2,500点を超え、常時開催している収蔵品展は、多くの来館者からご好評をいただいております。静岡県は東西に広く、静岡市から遠く離れた地域では、これらのコレクションを観賞する機会に必ずしも恵まれているとはいえません。
移動美術展は、開館以来、県内の遠方にあって、これら県立美術館のコレクションをご覧いただくことが難しい方のために、選りすぐりのコレクションを観賞いただく機会として開催するものです。
今回の移動美術展はでは、数あるコレクションの中から、明治以降の近代洋画、とりわけ「日本人の油彩画」を取り上げます。黒田清輝、和田英作、佐伯祐三、小出楢重といった当館の珠玉の日本洋画コレクションを通じ、日本人が西洋由来の油彩画をいかに受容し、日本人独自のものとして展開していったのか、日本人と油彩画の関係について見つめ直します。
鑑賞した感想は、いずれの作品も重厚で迫りくるものがあり、作品を前に暫し立ち止まり周囲と隔離されたかのように感じ、作家と無言の会話を交わすひとり自分が居るかのようでした。
なかでも、圧巻なのは黒田清輝の「富士之図」(1)~(6)であり、今世界遺産となった富士山の明治31年の姿を、板(材質)、油彩(技法)で鑑賞することができました。
また、印象深い作品として、曽宮一念の「スペインの野」(キャンヴァス、油彩)が脳裏に残ります。
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